卑弥呼の食卓 大阪府立弥生文化博物館 吉川弘文館


食文化というものは、人間活動の根源から生まれる文化だけに、その内容を調べるととてつもなく大きな動きも見えてくるということがよくわかった一冊でした。弥生人が何を食していたかというのは、正直それ程深く考えることはなかったのですが、そこをつきとめなければ何も見えてこないということなのかもしれません。稲作が始まったのは弥生時代だと勉強しましたが、確かに一般庶民が米を食べられたのかというようなことは真剣に考えたことはありませんでした。
また、食べ物を研究するのに、炭化した米や、木の実、残された骨などだけではなく、人間の糞を調べるということの奥深さがよくわかりました。藤原京では既に、男子トイレと女子トイレが分かれていたというのも、意外な発見でした。それ以上に、多くの寄生虫とともに、暮らしていた弥生人や飛鳥時代の人々の食生活を考えるにあたり、人間が食べ物を求めて生活をしていたと考えるなら、住居跡のある地域が意味しているものも大きく違って見えてきました。
いろいろと勉強になった本でした。
唯一残念だったのは、本の題名でした。卑弥呼は関係ありませんよね。素直に名前をつければ、もっと評価されていたのではないでしょうか。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
Pasted Graphic 4

読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★★★★
論理の力強さ ★★★★