日本史の論点 中公新書編集部編 中公新書

邪馬台国から象徴天皇制までと副題に書かれているように、決して古代史の論点だけを取り上げた物では成りません。私がコメントをするのは、第一章古代の倉本一宏さんの部分だけとさせていただきます。
魅力的な本書のタイトルに対して、この本が何を言うための物なのかということが、いまいちわかりませんでした。邪馬台国、大王はどこまでたどれるか、大化改新、道鏡、墾田永年私財法、そして、武士はどのように台頭したかというのが、古代史の論点として取り上げられています。これらの論点は、確かに、論文の数の多い分野ではあるのでしょうが、そこに書かれている内容は、どうして論点となったのかという歴史であって、何に終息しているかという点であって、その論争が生み出した成果は書かれていません。そして、なぜか筆者の意見が論争の結論のように書かれています。決して、新しい解釈でもなければ、論争により生み出された新たなる真実でもありません。
高校の国語の副教材に文学史というのがありましたが、内容を読まずに人名と数行の解説を読むことの意味がわからなかったことを思い出しました。
第五章現代の宮城大蔵さんのところは面白かった。そういう見方もあるのかと確かに感じました。
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Pasted Graphic 4

読みやすさ  ★★★
着想の奇抜さ ★★★
論理の力強さ ★★★