邪馬台国見聞録 安本美典 徳間文庫

邪馬台国九州論の中で、東遷説を追い求める安本氏。理論構成も素晴らしく、数理的アプローチも非常に説得力があります。これまでの数々の学者の研究を4つのパラダイムに分け、解説した後、持論を展開されています。「甘木朝倉地域にあればいいですね」と声をかけたくなるような力作です。ただ、本人の中にあるジレンマのようなものを感じるのは私だけでしょうか。絶対、おすすめの一冊です。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
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読みやすさ  ★★★★★
着想の奇抜さ ★★★★
論理の力強さ ★★★★★

ヤマト政権誕生と大丹波王国 伴とし子 新人物往来社


天橋立の籠神社に行った時、神社の売店で売られているのをみて、思わず買ってしまいました。それ程、期待していなかったのですが、内容は割とおもしろかった。海部氏系図というものが国宝として存在することさへ知らなかったですから、逆に、いろいろと他の知識とつながり、私の中では非常に良いトリガーとなってくれました。私としては、もう少し、海部氏系図に記載された注釈を追っていってほしかったと思います。大丹波王国があったかどうかは別にして、朝鮮の三国史記の新羅本紀にこの内容にもしかすると関係するかもしれない面白い記述があります。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
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読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★★★★
論理の力強さ ★★

中国の研究者のみた邪馬台国 汪 向栄  同成社


邪馬台国を読み解くには、どうしても魏志倭人伝に代表される中国の歴史書を追っかけていくことが必須であり、絶対となります。我々は、それらの文を書下し文にして読みますが、時々、「以」の用法とはじめとして、この接続詞としての理解でいいのだろうかと不安になることがあります。中国の人からみれば、どこまでの意味が隠されているのか解明してくれるのだろうかと期待して読みましたが、ほとんどの内容が日本のこれまでの研究者のまとめとなっていました。最も経済の発達したところに都があったというのは、考え方として納得しにくいものがあります。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
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読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★
論理の力強さ ★★★

逆説の日本史 古代黎明編 井沢元彦 小学館


井沢元彦先生の歴史へのアプローチ方法は、怨霊、言霊、怨念、魂の鎮魂という精神世界の解読からはじまります。もちろん、人間というものが科学的に解明されていなかった時代、宗教がそうであったように(今でもそうなのかもしれませんが)、非常に強い力を持っていたことはわかります。ですから、そこを掘っていくと、真の理由にたどり着ける可能性があるのかもしれません。この本は、歴史書というよりは、随筆に近い物ですが、巧みな話法で「そうなのかもしれない」と思わされます。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
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読みやすさ  ★★★★★
着想の奇抜さ ★★★
論理の力強さ ★★★