倭国の謎 相見英咲 講談社選書メチエ

邪馬台国を論じる本は多数ありますが、倭国の中で、いかにして邪馬台国が勝ち残って行ったのか、他の国から抜きん出て行ったのかを示した本は、見たことがありません。なぜ誰も示せないかというと、そこには魏志倭人伝しか資料がないからなのですが、それでも、わかっている内容から読み解ける秘密はあるものです。
アズミ氏の日本列島各地への展開を、魏志倭人伝に記載された国名から見つけだした鋭さには、まさに拍手です。勿論、それを裏付けるだけの証拠が示せないのは残念ですが、私は「奴国論」に大いに可能性があると思いました。そこから任那へつなげる展開も素晴らしい。思わず、なるほどと唸らされました。
加えて、出雲の荒神谷遺跡から出土した358本の銅剣。これが、何故に358本なのかを読み解いて見せた眼力には敬意を表します。素晴らしい論理です。
前半があまりに素晴らしかっただけに、本の後半の説は少し残念だというのが正直な感想です
でも面白かった。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
Pasted Graphic 4

読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★★★★
論理の力強さ ★★★★