清張古代史記 松本清張 日本放送出版協会

独自の観察眼、歴史観というものは素晴らしい。「だから、xxxxという間違いをおかす。」と手厳しいが、同感できるのは狭い範囲で考えるのではなく、常に広い視野をもって歴史や遺跡を見るべきという姿勢です。確かに、多くの人が間違った解釈をたくさんしているのは事実であると思います。しかし、松本清張氏自身も、いくつかの誤った理解をされているように思います。邪馬台国は北部九州にはありえませんし、方円墳と名付けておられる前方後円墳の捉え方も、私とは相容れない物があります。いろんな意味で参考になる書籍ではあります。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
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読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★★
論理の力強さ ★★★★

「天皇家」誕生の謎 関裕二 講談社

この人程、精力的に執筆活動を続けている作家の方も珍しいと思います。まさしく、歴史作家です。私も非常に多く彼の作品を読ませていただき、たくさんのお金を使ってしまいました。1万円は越えていると思います。そして、言えるのは、この人の本には良くも悪くも波があると思います。「なるほどなー」と感心させてくれることもあれば、「これ、焼直しだな」と思わされる物もあったり、量産されている本を片っ端から読んでいるからこういうことになるのかもしれません。あくまでも、個人的感想です。
この本で、関裕二氏の書評を書くのは不幸なことかもしれません。正直、「何が言いたかったのかなー。」とよくわかりませんでした。少なくとも、標題にあるような「誕生の謎」は書かれていません。関さんらしくない本だと感じました。すいません、こんな書評で。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)

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読みやすさ  ★★★
着想の奇抜さ ★★★
論理の力強さ ★★★

仁徳陵の被葬者は継体天皇だ 林順治 河出書房新社

古代史を趣味とする人は、なぜか信仰好きである。そして、特定の研究者もしくは作家を崇拝する傾向がある。これはなぜなんでしょうか。私の好きな作家(学者)の人達にも、多くの取り巻きがおりせっせせっせと講演会に通っている。まるで、祭祀のようである。祀り上げられた作家が発する神の声を聞こうとするのです。新興宗教のようで、ちょっと、気持ちが悪い。
この本の作者も信者の一人です。石渡信一郎という教祖様の言うことを、なんとかして伝導しようと頑張りますが、残念ながら読みにくい。もともと、無理がある理論のためでしょうが、応神天皇から論じるのか、継体天皇から論じるのかが定まっていないためだと思われます。
隅田八幡鏡の銘文の解読だけに焦点を充てた方がよかったかもしれません。この鏡の銘文にはロマンがあります。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
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読みやすさ  ★★
着想の奇抜さ ★★★
論理の力強さ ★