日本史の論点 中公新書編集部編 中公新書

邪馬台国から象徴天皇制までと副題に書かれているように、決して古代史の論点だけを取り上げた物では成りません。私がコメントをするのは、第一章古代の倉本一宏さんの部分だけとさせていただきます。
魅力的な本書のタイトルに対して、この本が何を言うための物なのかということが、いまいちわかりませんでした。邪馬台国、大王はどこまでたどれるか、大化改新、道鏡、墾田永年私財法、そして、武士はどのように台頭したかというのが、古代史の論点として取り上げられています。これらの論点は、確かに、論文の数の多い分野ではあるのでしょうが、そこに書かれている内容は、どうして論点となったのかという歴史であって、何に終息しているかという点であって、その論争が生み出した成果は書かれていません。そして、なぜか筆者の意見が論争の結論のように書かれています。決して、新しい解釈でもなければ、論争により生み出された新たなる真実でもありません。
高校の国語の副教材に文学史というのがありましたが、内容を読まずに人名と数行の解説を読むことの意味がわからなかったことを思い出しました。
第五章現代の宮城大蔵さんのところは面白かった。そういう見方もあるのかと確かに感じました。
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読みやすさ  ★★★
着想の奇抜さ ★★★
論理の力強さ ★★★

女帝の古代日本 吉村武彦 岩波新書

卑弥呼、壱与、神功皇后、飯豊皇女、女首長、そして推古天皇に始まる女性天皇を皇極、斉明、持統、元明、元正、孝謙、称徳天皇まで。
読み終わった時、「そうですよねー、確かに。」と、高校で習った日本史の授業を復習したなーと思える作品です。よくまとまっており、それぞれの天皇の人柄のようなものも少し覗けるのですが、まったく、日本書紀の焼きうつしになっており、新たな説は残念ながら見ることはできませんでした。読みやすく、理解しやすいという点ではいいのかもしれません。
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読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★
論理の力強さ ★★★

日本史はこんなに面白い 半藤一利 文藝春秋


文藝春秋社で、週刊文春や、文藝春秋の編集長を歴任された方です。「日本のいちばん長い日」を書かれた人と言われると、「あー」と言われる方も多いのかもしれません。私もその口でした。昭和史というのがいいのでしょうか。近代日本の本当の姿と言うのを追い求めた方なのかもしれません。
ご本人は歴史探偵と言われているようです。この本では、文藝春秋時代に作ったであろう人脈を使って、様々な魅力的な人との対談をして、纏めておられます。
やはり、近代史分野はお強いのか、かなり突っ込んだ内容を話されていますが、私にはあまり関心のない分野になります。やはり、中西進氏との聖徳太子、高橋勝彦氏とのアルテイが面白かったし、欲を言えば、もう一歩突っ込んでほしかった箇所でもありました。なるほどなーと思えたのは、井沢元彦さんの織田信長像、荒俣宏さんの妖怪も面白かった。
でも、買うほどの本じゃないようにも思います。
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読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★★
論理の力強さ ★★