興亡古代史 小林惠子 文藝春秋

こういう書を読んだのは、生まれて初めての経験です。そういう意味では、勉強になりましたし意味がありました。読んだ私が、馬鹿なのか?それとも、最後迄読んだことを褒めてあげた方が良いのか。率直な感想です。
この小林さんという作者の方は、きっと東洋史を研究され膨大な書物を読んでこられたのだと思います。それも、きっと中国の二十四史、それも
夷蛮伝あたりを精読されたのではないでしょうか。いろんな国の王族の系譜を書いていると、時として、どうしてとぎれたのか?とか、どうして消えてしまったのか?という思いを持つことがあります。それを追っかけるのは本当に大変な作業になるのですが、他国の人となるととんでもなく大変なことだと想像ができます。その人が当時の日本にやってきていたとしたなら……それが、きっとこの書物の内容になるのかもしれません。膨大な資料と格闘しながら、独自の理論を組み立てていくのは本当に大変なことです。しかし、あまりにも根拠がなく、そして無理があるというのが正直な感想です。東アジア(この場合、朝鮮半島だけでなく、匈奴、烏丸、鮮卑、突厥をも含めて)が、列島内に存在するぐらいの広さであったなら、可能性もあったかもしれませんが、国を越えて民族や部族が移り住むには、あまりにも障害が多過ぎるのと、なぜ、日本に?ということになってしまいます。もちろん、私が100%否定できる箇所は、二割にも満たないかもしれませんが、それ以上に事実であると証明できるのは一割にも満たないと思われます。労作であることは間違いないです。校正、編集された方が、この内容に付いてこられたことに驚きを覚えます。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
Pasted Graphic 4

読みやすさ  ★★
着想の奇抜さ ★★★★
論理の力強さ ★