古代史を解く『鍵』 門脇禎二・森浩一 学生社

丹後王国でおなじみの文献史学者の門脇禎二氏と、ヤマトを中心に考えない考古学者の森浩一氏の対談をまとめた本です。青龍三年鏡、地域国家、継体王朝の成立、氏姓制度、隼人熊襲蝦夷、古代の女性、木簡というテーマを基に様々な見方の意見交換をされている内容です。久し振りに面白い本を読んだというのが正直な感想です。森浩一氏の得意分野が多いせいか、森氏見方が強く現れている内容ですが、森氏がある内容を深堀するのに対し、門脇氏はそれを流れの中の一事象として捉えコメントを発せられています。考古学者が一つの遺跡にこだわり、文献史学者が歴史の繋がりにこだわるのか、それとも、森氏と門脇氏がそういう視点から分析する学者なのかは、わかりませんが、時に行き過ぎとも思われる森氏の意見を、さりげなく否定したり肯定したりしている門脇氏のやりとりは、読んでいて、個々の内容や着目点だけでなく、楽しむことができました。読んでいて突っ込みどころは多々ありましたが、それはテーマ毎に機会を見て歴史ニュースや古代史探求レポートでコメントさせていただきたいと思います。一読の価値ありと思います。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
Pasted Graphic 4

読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★★★
論理の力強さ ★★★★