考古学と古代史のあいだ 白石太一郎 ちくま学芸文庫

時として学者というのは「やっかいなものだな」と感じる時があります。学問と真摯に向かい合うためには、予断や偏見は御法度なんだろうということはよくわかりますが、これほど多くの研究が進む中でどうして相互にそれを利用し、俯瞰的な目を持って古代史の研究が進められないのだろうと疑問をなげたくなることがあります。私は、学者ではありませんから、どんなものでも参考にします。日本書紀自体が偏見に満ちあふれているのですから、偏見も予断も大歓迎なのです。考古学に感心のある人の中で、白石先生の名前を知らない人はいないと思います。正しく、学会のトップを走る方ですが、考古学に留まらず文献の研究も尊重しようという姿勢は、正しく拍手を贈りたいと思います。この書は、古墳や副葬品を中心に、魏志倭人伝から倭の五王迄をやさしく解説し日本建国の姿を教えてくれています。優しい語り口が魅力でもあります。素直に、良い本だと思います。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
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読みやすさ  ★★★★★
着想の奇抜さ ★★★
論理の力強さ ★★★★★