日本史の誕生 岡田英弘 弓立社


岡田先生は、東洋史の先生です。そのせいでしょうか。目は中国から物を見ると言う目をもたれているように思います。それが悪いと言うわけではないのですが、日本に残されている文献や木簡等の記述も少しは考慮してもらえればと思わざるをえません。岡田氏に言わせると、日本書紀なんてものは天智・天武・持統がはじめて日本国というものを作った時に、その時代の内容に合わせて書いた歴史書であってそれ以外の何物でもないと言われます。ましてや、古事記なんてものは、偽書であり日本書紀を見て書かれた物だとのことです。そうなると、何を信じて歴史を見るのかと言うと、中国における正史以外にないというのが岡田先生の考え方です。そこで、日本書紀など、全く無視して考えられる世界とは、日本は卑弥呼の時代があり、邪馬台国は瀬戸内海にあって、その後、大阪にいた酋長らしき人物が、中国と国交を始めた。これが仁徳天皇だと言われます。ただ、あくまで部族の長以外のなにものでもないということになります。応神天皇は気比神宮で名前を交換された通り、作られた人物なのだそうです。仁徳の後倭の五王が登場し、その後、播磨王朝ができて、すぐに越前王朝に乗っ取られます。そうやって、徐々に日本は作られていくのだそうです。ご存知のとおり、裴世清が会ったのは男性の王です。だから、推古天皇なんていなかった。と痛快なばかりの一刀両断です。ただ、面白いな、なるほどね、と思わせてくれる箇所も多々あることも事実です。中国人が混ざってできた日本人の起源には、私も同意する箇所はあるのです。また、日本語の起源も面白かった。こねくり回すのではなく、平易に書かれていますので、突っ込みながら読める本です。弓立社という変わった会社から出版されていましたが、同じ内容でちくま書房から出ていますので、そちら購入してください。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
Pasted Graphic 4

読みやすさ  ★★★★★
着想の奇抜さ ★★★★
論理の力強さ ★★★